福井県における平成21年のがんの死亡者数は、男性1,412人・女性932人の計2,344人でした。
これは死亡数全体の約3分の1を占め、昭和55年以来、連続して第1位になっています。
がんによる死亡者数を減らすためには、
がんにならないこと(1次予防)と早期発見・早期治療(2次予防)が大切です。
がんの原因は、タバコ、肥満、運動不足、アルコール、
感染(肝炎ウイルスによる肝がんやヒトパピローマウイルスによる子宮がん)、
遺伝など様々ですが、1次予防で最も効果の高いものが禁煙です。
国立がん研究センターがおこなった日本人数万人の追跡調査では
胃がん1.7倍、大腸がん1.4倍、肺がん男性4.5倍・女性4.2倍、
乳がん1.4倍(閉経前の女性では3.9倍)と、タバコは、肺がんのみならず、
多くのがんの危険を増加させます。
禁煙を抜きにして、がん予防は考えられません。

2次予防で大切なことは、がん検診を受けることです。
検診のことをスクリーニングと言いますが、これはふるいに掛けるという意味です。
がんの見逃しを恐れてふるいの目を細かくすればがんが多く見つかりますが、
同時にがんでない人も多くひっかけてしまいます。
がんがないのに陽性とされると、余計な不安や医療費、
検査に伴う偶発症など様々な問題が生じます。
健常者を対象とするがん検診では、多少、ふるいの目が粗くて、
ひっかかるがんの人が減ったとしても、
検診を受けることで被る不都合をできるだけ少なくする検査方法が選ばれています。
しかし、症状のある人は、病気を持つ可能性や緊急性が高いため、
検診ではなく、病院を受診して検査を受けてください。
現在、日本では、受けると死亡率が下がることが確認されている5つのがん検診が、
胃がんでは胃X線、肺がんではX線と喀痰細胞診、子宮がんは子宮細胞診、
乳がんではマンモグラフィと触診の併用、
大腸がんは便潜血検査で行われています。
対象年齢は40歳以上で、子宮がんだけは若くしてかかる人たちが増えていることから
20歳以上になっています。
検診頻度は1年に1回ですが、女性の子宮がんと乳がんは2年に1回となっています。
福井県の5つのがんによる平成21年の死亡者数は1,192人で、
がん死亡全体の半数を占めています。
しかし、福井県の調査によれば平成21年度の5つのがん検診の平均受診率は
26.7%にすぎません。
しかもその人たちは健康に気をつけている人たちが多く、
健康に気をつけていない残りの7割の人たちが検診を受けていないのです。
福井県では検診受診率50%を目標に、
平成22年度から、近くのかかりつけ医でも5つのがん検診を受診できる
個別検診の制度を開始しています。
助かるがんで命をなくさないために、禁煙による1次予防と、
積極的な検診受診による2次予防をこころがけましょう。
>>トップに戻る